違法?合法?野宿の法的な位置付け
たまに議論になるのが、“野宿は違法か合法か?”と言う問題。
確かに野宿なんてやろうとも思わないまま人生を過ごして来た方にとっては、勝手に近所で野宿されて良い気分はしないでしょうし、野宿が法律で守られているとは思えません。
調べてみると野宿の場所や状況によって事情が違う事がわかったので、今回は場所や状況ごとに野宿は違法か合法か?を考えていきます。
つっても別にボクは法律の専門家でもなんでも無いです。素人ががんばって調べましたよ!ってレベルですのでご了承下さい。
まだお読みになってない方はこちらの記事もどうぞ。野宿の定義とかについて述べてます。⇒あわせて読みたい『野宿って何?野宿の定義やスタイル』
公園での野宿
都市公園法
都市公園法で禁止されてる事
一般的な公園は、『都市公園法』でその管理や基準が定められており、その中に禁止されている行為も掲げられています。
明確に公園で禁止されている行為は第11条に4つ記されています。※簡単な文章にしているので原文を読みたい方は上のリンク先へ。
- 公園を損傷したり汚損する行為
- 植物の伐採や採取
- 土石や竹木等を積み上げる行為
- 他の人が公園を利用するのに著しく支障が出る行為
禁止されているのはこれだけです。意外とシンプルな印象です。
都市公園法で許可が必要な事
また、第12条には許可を受けないといけない行為も記されています。※また簡単な文章に書き換えています
- 物を販売したり頒布する行為
- 競技会、集会、展示会などで公園の全部又は一部を独占する行為
- 公園の管理上支障を及ぼすかもしれない行為
この3つだけです。これもまたシンプル。
野宿が都市公園法にひっかかる事は?
上記の通り、公園での野宿は明確に禁止はされていないんです。
ただ、例えば狭い公園のど真ん中で、複数人でテント張ってバーベキューまで始めたら、それは『他の人が公園を利用するのに著しく支障が出』たり、『公園の全部又は一部を独占する行為』になる可能性がありますね。
とは言え、それじゃお花見やピクニックだって、ビニルシートや私物を広げて公園の一部を独占しているように見えますが、家族や仲間内でこぢんまりやる分には、別にいちいち行政に許可を取ったりしないですよね。度が過ぎると注意されたりする事があるでしょうが。
お花見、ピクニック、そして野宿は、明確にダメとは言われておらず、良いとも言われていない、言わばグレーゾーンです。他人に迷惑をかけない範囲では構わないけど、度が過ぎるとダメと言う感じでしょうか。
地方の条例などで禁止されている場合
解釈に困る条例
都市公園法の他に、地方の条例でも公園の取り扱いが定められています。
例えば、横浜市公園条例では、第5条の禁止事項の中に「公園に居住すること。」が、第6条の許可を受けなければいけない行為に「花火、キャンプファイヤー等火気を使用すること。」が挙げられています。
“居住”とは、「ある一定の場所に住む事、生活を営む事」を普通は指すので、これは野宿と言うよりホームレスなどが公園に定住する行為を禁止しているものと思われます。たった1泊の野宿がこれに該当するかと言うと、言葉の上ではしなさそうですが、いざその場で怒られてしまうと反論に困るところでもあります。
また神戸市都市公園条例では、第6条の禁止事項の中に「都市公園をその用途外に使用すること。」とあります。
これだと、“野宿が公園の用途から外れてるか否か”と言う、更に解釈が難しい感じになってしまっています。公園で寝るのが用途外なら、昼寝だって用途外では・・・?とか。
明らかに禁止している条例
2018年6月7日に、伊豆諸島の神津島で「神津島村キャンプ等禁止区域に関する条例」が可決・即日施行されました。
ここでは明確に指定された場所以外での野宿を禁止しており、野宿の禁止を明文化した条例は日本で初めてじゃないかと思います。
神津島で飛び込みして遊ぶ子供。
また、長崎市都市公園条例では公園の居住については触れられていないものの、第4条の禁止事項の中に「指定された場所以外の場所へ自動車等を乗り入れ、又は留め置くこと。」とあります。野宿は該当しませんが、駐車場以外での車中泊は確実に該当してしまいますね。
やっぱり大半の条例ではグレー
以上に挙げた条例の他、何都市かの条例を読みましたが、神津島の条例以外は、やはり野宿が条例で禁止されているかと言うと微妙な所で、結局は都市公園法と同じく他人に迷惑をかけない範囲では構わないけど、度が過ぎるとダメが目安になると思います。
特に禁止されている場合
『キャンプ禁止』と書かれた看板が設置されている公園がしばしばあります。こう言う公園は、キャンプ行為をグレーゾーンではなく、都市公園法の『公園の管理上支障を及ぼすかもしれない行為』ととらえていますよ、と言う、管理者の意思表示です。
『キャンプ禁止』だと、それじゃベンチで寝袋で寝るのはどうなんだ・・・?と言うあたりがまたグレーですが、少なくともテントを張ったり火気を使うのはダメでしょう。
山や川など
山はほとんど私有地
日本の山はほとんどが私有地なので、その土地の所有者が野宿を認めているかどうかがカギになります。
なので、「立入禁止」「キャンプ禁止」「火気使用禁止」などと書かれていたら、テントを張ったり火を使ったりするのは禁じられていると思いましょう。
何も書かれていない場合は、これまた「認められてもいないし禁止されてもいない」と言う微妙な立ち位置になります。やはり、他人に迷惑をかけない範囲でこぢんまりやるのが無難でしょう。
河原
河原は国有地と思われがちですが、水が流れる部分は国有地でも、河原は私有地の場合もあります。
なので河原も山と同じく、所有者に禁止されていたらやらない、禁止されていなかったら他人に迷惑をかけない範囲でと言う事になります。
国立公園
日本の国立公園は私有地が多い
国立公園は、名前だけ聞くと国が所有している公園のように思ってしまいますが、日本の国立公園は私有地の寄せ集めである事が多いようです。
なので国立公園内でも、前項の山や川と同じく所有者に禁止されていたらやらない、禁止されていなかったら他人に迷惑をかけない範囲でを基本としましょう。
道の駅などその他の施設
これらも結局は、山や川、私有地と同じです。管理者に禁止されていたらやらない、禁止されていなかったら他人に迷惑をかけない範囲でと言う事です。
結局野宿って違法なの?
野宿は、条例で禁止されていたり、その土地・施設の管理者又は所有者が禁止している場合、『違法』です。
ただし、禁止されていない場所だと違法とは言えず、かと言って合法とも言えない、『微妙な立ち位置』にあります。
野宿する人が増え、近隣住民に迷惑をかけるようになると、野宿を禁止する土地管理者/所有者や、あるいは神津島のように野宿を禁止する自治体が増えるかもしれません。
なので、野宿をする人は「誰もいないから好きに使って良いんだヤッホーイ」なんて考えは絶対にしてはならず、野宿は法律的にグレーで、いつ禁止されてもおかしくない事を常に念頭に置くようにして下さい。
今後野宿が法律で禁止されないようにするためにも、野宿者はマナーを徹底する必要があるのです。⇒あわせて読みたい『野宿をする人すべてに徹底してほしい!野宿のマナー』
と言う事で、健全なタフ旅人はマナーを守って慎み深く野宿をするようにしましょう!